左翼政党「不服従のフランス(LFI)」の所属議員らがこのほど、テロ擁護の言説を犯罪とする法律の撤廃を盛り込んだ議員立法法案を提出した。物議を醸している。
フランスでは、2014年に制定の法律により、テロ行為を擁護する言説の流布が犯罪として禁止されている。LFI所属の議員らは、犯罪擁護、戦争犯罪の擁護、人道に反する罪の擁護を対象にした1881年の法律で十分だとし、2014年制定の法律は逆に、テロ対策を口実に表現の自由を封じるものになっていると主張。議員らは、昨年10月7日に発生したハマスによるイスラエルのテロ攻撃をイスラエルによる不当行為に対する反撃と位置付けるパレスチナ支持派の主張が、同法により不当に封殺されているとも主張。LFIのパノ下院議員団団長やリマ・ハッサン欧州議員などが同法に基づく捜査の対象になっていることなどを問題視している。
この法案については、タカ派として知られるルタイヨー内相や右派陣営が厳しく批判するコメントを発表。ルネサンス党のアタル下院議員団団長(前首相)も、LFIを除く左派政党に対して、同法案に反対する意志を明確に示すよう呼びかけた。社会党のフォール第一書記は法案を批判。これに対して、LFIを率いるメランション氏は、「いつものように、内容も吟味せずに極右と政界・メディアが揃ってLFIを攻撃している」などとする反論を展開している。