仏長期国債、総選挙の混乱の中でも105億ユーロ相当の起債が成功

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仏国債庁(AFT)は4日、長期国債の発行を行った。10年、30年、40年物の国債を合計105億ユーロ相当売り出した。応募倍率は種類により2.4倍から2.7倍に上り、起債は成功した。
突然の解散決定から、総選挙での極右政党RN(国民連合)の台頭懸念により資本市場は大きく揺れたが、今回の起債の成功は、混乱した状況の中でも仏国債への信頼が大きく損なわれていないことを示しており、関係者らは安堵している。解散後では、6月21日に中期国債(償還期限3-8年)が105億ユーロ相当発行され、成功を収めていたが、今回は指標となる10年物国債を含む起債とあって、投資家の反応が注目されていた。AFTは、通常は120億-140億ユーロ相当を起債するが、今回は状況に鑑みて105億ユーロと規模を小さくして起債を行った。そうした工夫はあったものの、外国投資家を中心とする需要は本物で、起債は確実な成功を収めた。足元で、総選挙の決選投票の行方に関する楽観視(極右RNによる過半数確保の可能性が遠のいた)も好材料になった。独仏間の長期金利スプレッドは、第1回投票直前の6月28日には86ベーシスポイントまで開いていたが、7月4日には67ベーシスポイントまで縮小した。それでも、10年物国債の流通利回りは3.27%と高めで、値頃感が需要を支えた可能性もある。