移民法案巡り左右両陣営が綱引き、マクロン政権は板挟みに

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト

移民法案を巡る対立が厳しさを増している。マクロン政権にとって、対立する要求の間で妥協点を見出すのが困難になっている。
左翼系日刊紙リベラシオンは12日付で、移民法案第3条の擁護を求める国会議員らの共同宣言を掲載した。政府がまとめた移民法案の第3条には、人材確保が困難な部門において、就労実績がある不法滞在者の身分の正規化を促進するための措置が盛り込まれているが、共同宣言はその擁護を求めた。左派野党(左翼政党「不服従のフランス」を除く)の20人程度の議員に加えて、与党議員12人が署名している。法案の国会審議に向けた準備では、保守野党「共和党」の協力を取り付けられるかどうかが焦点となるが、共和党はこの第3条について、移民流入の呼び水になるとして強く反発しており、政府がそれに譲歩して内容の修正に応じる可能性がある。左派野党はこれを警戒して今回の共同宣言の発表に踏み切ったが、これに与党議員も賛同していることは、与党と政権の内部でこの問題を巡る対応に足並みの乱れがあることを示している。ダルマナン内相は、身分正規化を認める際の条件を法律でなく政令で定めることとして、原案よりも厳格な条件を設定する姿勢を示し、共和党から協力を取り付けることを狙っているが、共和党の側は、それでは不十分だとして、法律による規定を要求している。左右の野党勢力から出された真逆の要求の間に挟まれて、下院で過半数を持たない少数政権であるマクロン政権の政局運営は一段と厳しさを増している。