フランスと外国の投資家

投稿日: カテゴリー: アライグマ編集長の日々雑感

対仏投資誘致イベント「チューズ・フランス」(5月15日)の機会に、テスラのマスクCEOがフランスを訪れ、ルメール経済相やマクロン大統領と会談、国賓級の歓迎を受けた。週35時間でも飽き足らずにいっそうの時短を要求し、定年の64才への引き上げに抵抗して60才への引き下げすら要求する労組や左派野党の圧力が強まっているフランスは外国の投資家にとって必ずしも魅力のある投資先とはいえないが、少なくとも現政権はビジネスフレンドリーな姿勢を明確に打ち出しているのが救いで、仮にルペン極右政権やメランション左派政権が誕生していたらどうなっていたことかと空恐ろしい気がする。いずれにしても、マスクCEOのような大胆で野心的な事業家を生むような人材育成基盤がフランスにはないことは確かで、せめて外からそのような人々のプロジェクトを受け入れる可能性だけは残して欲しいものだ。その一方で、筆者は、ルペン極右政権やメランション左派政権のようなものが実現したら面白いとも密かに期待している。そうした政権の下で経済と財政が一度徹底的に破綻し、社会全体が重苦しい雰囲気に覆われてしまえば、有権者も次の選挙ではさすがに考え直すのではなかろうか。もっとも、人間の愚かしさは底なしだから、どんな痛い教訓もすぐに風化してしまうのかも知れない。ロシアのプーチン政権やトルコのエルドアン政権などが長続きしているのを見ると、そう思わざるを得ない。