年金改革法案の重要条項、上院で採択に

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上院は9日未明、年金改革法案の本会議審議で、第7条を採択した。第7条は、定年年齢を62才から64才へ引き上げる旨を定めた重要条項で、大荒れとなった下院審議ではここまで審議が到達せず、法案が政府原案のまま上院に送られたという経緯がある。上院では、保守野党「共和党」と中道勢力が合計で過半数を握っており、連立与党が過半数割れを起こし、しかも左派野党や極右勢力の数がかなり大きい下院と比べると、議会運営の状況は安定している。連立与党は共和党の助けを借りて法案の可決成立を図る構えで、上院での審議は協力の可能性を探る上で重要な意味がある。上院でも、左派野党が修正案を多数提出して抵抗しているが、上院多数派は、審議の制限を可能にする措置を発動してここまで審議を進めてきた。ただ、12日の期限までに、残りの13条のすべての採決を終えられるかどうかは微妙で、それができないと、上下院とも採決を経ないままで両院協議会に妥協案の策定が委ねられるという異例の事態になる。
年金改革反対のストライキは3日目を迎えた9日も続いた。改善がみられる部門もある。国鉄SNCFの運行状況は初日に比べると改善したが、高速鉄道は通常の33%、ローカル線は同40%と、影響はまだかなり大きい。パリ首都圏では、RER(郊外連絡急行)のD線とローカル線(トランシリアン)のR線で通常時の20%の運行と、厳しい状況が続いている。RATP(パリ交通公団)では、メトロの路線の半数でほぼ平常通りの状況に回復した。製油所のストでは、エクソンモービルのノルマンディ製油所で封鎖が解かれ、燃料出荷が再開された。トタルエネルジーの製油所を含むその他の大規模施設ではストが続いている。半面、200ヵ所の小規模の貯蔵所のうち封鎖されているのは5ヵ所のみで、足元で燃料供給の顕著な問題は生じていないという。ガソリンスタンドにおける品薄は全体の4.78%(1種以上の燃料が品切れ)で、前日の5.78%に比べるとわずかに改善した。EDF(仏電力)の発電所の出力は全体で8700MWの低下を記録している。LNG(液化天然ガス)の受け入れ港と貯蔵施設でも封鎖が続いている。