ボルドーワインのぶどう栽培業者、減反を求めてデモ:需要減で生産過剰に

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ボルドーワインのぶどう栽培業者ら数百人が6日、ボルドー市内で抗議行動を行った。減反のための支援を政府に対して求めた。
ボルドーワインは消費後退で過剰在庫に苦しんでいる。年間生産が500万ヘクトリットル程度に上るのに対して、販売量は400万ヘクトリットル程度にとどまっており、毎年在庫が積み上がっている格好になっている。トランプ前政権が導入していた関税や、主要な市場の一つである英国の欧州連合(EU)離脱に伴う混乱など、この数年で何かと逆風が多かったが、新型コロナウイルス危機を経て、頼みの綱だった中国市場の需要急減が大きな打撃となった。また、戦略的なミスもあった。ボルドーワインは2018年に、不作の補填を目的に小売価格を大きく引き上げたが、これで市場シェアを失い、現在までシェアの回復は実現していない。ボルドーワインの業界団体CIVBによると、赤ワインの販売が5%後退するなら、ボルドーは8%後退しているといい、消費の新傾向に製品が追い付いていない現実もある。
ボルドーワインの作付面積は1990年代に大きく増加し、2000年代にも過剰生産に陥ったが、この時は中国からの需要が救世主となった。逆に、生産過剰の問題に取り組むのが遅れ、「何年も前から3万ヘクタールの余剰があると論じていた」(CIVB)のに、有効な対策を打ち出せないままここまで来た。ボルドーのぶどう栽培業者は6000程度を数えるが、うち1000程度は経営が苦しく、さらにその半数は倒産の危機に直面しているともいわれる。抗議行動に参加した業者らは、1万ヘクタールから1万5000ヘクタール程度の減反の費用を負担するよう、政府に対して呼びかけた。10%以上の減反に相当する。