「屋上庭園」設計で成功のTopager

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト

「屋上庭園」の設計の専門企業Topager(トパジェ)は、環境問題への意識の高まりを追い風に成長を続けている。同社は2013年に農業技師のフレデリック・マドル氏が設立。農学分野の名門校であるアグロパリテックでの屋上(500平方メートル)の庭園化の実験を出発点とし、現在は年商200万ユーロ強(2021年)の企業に成長した。従業員数は30人で、これまでに5ヘクタールの屋上庭園化を実現した。同社は、農園化と、農業生産の伴わない庭園化の両方を半々の割合で手掛けており、そうした多角的な対応が経営の安定化に貢献しているという。
同社は現在、2024年パリ五輪の選手村建物の屋上の庭園化に取り組んでいる。五輪期間中はビールの原料となるホップを栽培し、五輪終了を経て集合住宅に鞍替えされて以降は住民向けの共同菜園として使用される計画という。屋上庭園を実現するには、耐荷重の強化や屋上へのアクセス部分の実現など、設計段階から追加費用がかかるが、投資を回収できる利益が得られることを説得するのが鍵となる。生物多様性への貢献など環境への貢献はもちろん、共同菜園の整備などを通じた社会とコミュニティへの貢献も大きい。マドル社長は、地元パリ首都圏の自治体の間で、再開発計画にネイティブで屋上庭園に関する要件を組み入れる動きも増えていると説明している。ただし、同社の場合、事業の過半数は民間部門の商業施設向けとなっており、パリ市内の百貨店ボンマルシェの屋上の従業員向け緑地の整備などの実績がある。