仏政府、エネルギー節減プランを公表

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ボルヌ首相は5日午後、エネルギー節減プランを公表した。9人の関係閣僚を伴ってイベントを開き、大々的にプランを公表した。ウクライナ危機を背景に、冬季にエネルギーが不足する懸念があることを踏まえて、すべての国民に省エネへの協力を呼びかけた。プランには一連の措置が盛り込まれているが、いずれの措置も強制力の伴わない努力の呼びかけと奨励となっており、効果を疑問視する向きもある。また、当面の危機を乗り切るためだけの省エネに終始し、気候変動対策をにらんだ息の長い取り組みになっていないとする批判の声も聞かれる。
政府は具体的に、国内で2年間にエネルギー消費を10%削減するとの目標を設定し、各人に努力を呼びかけた。また、公共部門が率先して省エネに取り組む姿勢を示すとも約束した。
まず、細々した「エコ行動」の実行を国民に呼びかける広報活動が10日より開始される。暖房温度の上限を19度に設定する(寝室は17度)、温水器の温度設定を55度に引き下げる、食洗器や洗濯機など電力消費が大きい機器のピークシフト、使われていない機器やスリープ状態の機器の電源オフ、などからなる。政府はこのほか、ライドシェアに新規加入する人に対して100ユーロ程度の奨励金を支給すると発表。2023年年頭に開始するが、使用頻度が少ない人には奨励金の返還を求めるとし、奨励金目当ての名目上の加入は認めない方針を示した。
公共施設の省エネ推進に1億5000万ユーロの予算を設定し、ボイラーの取り換えやLEDランプへの切り替え、スマート温度管理システムの導入など、即効性のある取り組みを支援する。年間250GWhの節減が目標となる。公共施設では、シャワーを除いて給湯を原則的に廃止し、暖房温度の上限(19度)は、電力供給が特に逼迫した際には18度まで下げる。プールや体育館でも水温・気温を下げるなど努力する。街頭やモニュメントの照明などは極力制限する。
リモート就労の利用拡大も奨励される。公務員部門ではリモート就労手当の15%増額を通じて奨励する。公用車の高速道路における運転最高速度を時速110kmに制限する。