EDF(仏電力)の上場廃止を目的として、最大株主である仏政府は10月4日、EDFに対するTOB計画をAMF(金融市場監督機関)に提出した。
国は未保有の残り16%株式を12ユーロで買い入れる計画。転換社債(OCEANE)を含めて国は97億ユーロをEDFの完全買収に投入することになる。90%株式の確保をTOB成功の条件とし、その後に残り株式をすべて取得してEDFの上場を廃止する。従業員持ち株会など、一部の少数株主は買収価格が低いとして提訴する構えを見せているが、4日のEDF株価は11.935ユーロと、政府が示した価格に低めで足並みを揃えており、これは市場がTOBの条件をむしろ良好と判断していることを示している。予定通りに11月8日にAMFによる承認が得られたら、TOBは11月10日より12月8日まで実施され、結果は12月13日に発表される。
EDFは上場から17年を経て再国有化されることになる。政府は、国内で原子炉の建造計画を進めているが、現状でEDFによるファイナンスでは費用がかかりすぎると判断し、再国有化を決めた。再国有化そのものは難事ではないが、その後に山積する課題は解決が容易ではない。EDFの債務水準は高く、増資が不可避との見方もある。低迷する原子力発電の立て直しに取り組まなければならず、懸案の課題であるEDFの再編も手付かずで残っている。政府はEDFの次期CEOにリュック・レモン氏を指名し、今後のかじ取りを委ねる。