仏通信業界では、光ファイバー加入者回線やクラウドサービス及びサイバーセキュリティ分野での求人が相次いでいる。しかしながら、最も有望な分野での人材確保は困難な状況が続いている。例えば、フリーは現在、無期限雇用での500人の雇用を目指している。オレンジも、仏国内だけで900名の新規雇用を必要としている。ブイグ・テレコムとSFRでも同様で、それぞれ数百人の雇用が必要となっている。特に有資格の技術者は簡単に職を見つけることができる状況が続いている。例えば、2019年から2021年にかけての卒業生を対象とした調査によると、パリのグランゼコールであるテレコム・パリの卒業生の99%は卒業後6ヶ月以内に、また、72%は卒業前に職を見つけている。
フリーの親会社であるイリアッドでは、クラウド子会社のスケールウェイでの400人の求人を加えると、グループでは1000人の求人があり、創業以来で最高だと説明する。同社は、新型コロナ危機が始まって以来、既に2000人を採用している。ブイグ・テレコムは、2021年に1400人を無期限雇用しており、2022年と2023年にもほぼ同数の採用を予定している。
調査会社のアーサー・ディー・リトルによると、スウェーデン通信機器のエリクソンやフィンランド同業ノキアを加えると、仏通信業界の従業員数は12万1000人に達する。オレンジが仏従業員数8万2000人でトップ、SFRが1万5000人、ブイグ・テレコムとフリーが約1万人で続いている。ただし、これらの数字は、格安路線のフリーの参入による競争激化や下請けの利用増やアウトソーシンの進展を受け、2011年以来、平均して年に2.7%ずつ減少していた。
現在では、仏通信業界は、2021年には、前年比で2.5%という売上増を達成し、10年ぶりに成長に転じた。特に光回線敷設の加速が、特に下請け業者での雇用拡大に貢献した。
ただし、通信業界では、サイバーセキュリティ技術者やネットワーク仮想化技術者の確保などに関しては、銀行やインターネット大手との激しい競争に晒されており、人材確保では苦戦を強いられている。