欧州議会、EUタクソノミーに原子力と天然ガスを含める案を承認

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欧州議会は7月6日、ストラスブールで開いた本会議において、EUタクソノミーに天然ガスと原子力を含めることを承認した。EUタクソノミーは、持続可能な経済事業を分類するリストで、リストから漏れるとファイナンスの確保が困難になる。欧州委員会は去る2月に、EUタクソノミーに天然ガスと原子力を条件付きで含めることで合意。欧州連合(EU)加盟国政府で構成されるEU理事会は欧州委員会の提案を承認済みで、残る関門は欧州議会による承認のみとなっていた。
欧州議会の2つの小委員会(外務委員会と環境委員会)は6月14日、EUタクソノミーに天然ガスと原子力を含めることに異議を唱える決議案を採択していたが、同決議案が6日の本会議の投票で否決されたことで(反対328、賛成278、棄権33)、欧州議会による承認が確定した。
この決定に対して、欧州議会の環境派議員や、グリーンピースなどの環境NGOからは、EUの気候変動対策を後退させるものであり、「グリーンウォッシング」を助長する悪しき前例を作ったなどという強い批判が寄せられている。
これに対して、支持派の仏カンファン議員(欧州刷新)などは、天然ガスと原子力はEUタクソノミーで再生可能エネルギーと同格に扱われるわけではなく、過渡期の手段として、厳密な条件付きでタクソノミーに含められるのであり、反対派の懸念は杞憂に過ぎないと反論している。欧州委員会の提案は、天然ガス焚き発電所に関して、2030年までに建設許可を取得したものについて、石炭焚き発電所などのリプレースを目的とする限りでタクソノミーに含めることを規定。原子力に関しては、既存の発電所の改修については2040年までに、新設については2045年までに許可を得ることを条件としている。
環境NGOなどは、最後の手段として、欧州司法裁判所に提訴する構え。なお、EU理事会での承認に際しては、オーストリアやルクセンブルクなど8ヵ国が反対した。オーストリアとルクセンブルクは原子力を含めることに強く反対しており、やはり欧州司法裁判所に提訴を行う予定。