マクロン大統領は22日夜、国民向けのテレビ演説を放送した。総選挙で与党連合が過半数割れを起こしたことを受けて、妥協に基づいた新たな政局運営のあり方を探るとし、各党に対して協力の意志があるかどうかを明確に示すよう呼びかけた。
マクロン大統領は22日までの2日間に、各党の代表と個別会談を重ねて、感触を探っていた。総選挙後で初の見解表明となったテレビ演説は、10分未満というかなり短時間の演説となった。大統領はこの中で、大統領選において自らが再選を果たしたのは、自身の公約を国民が支持したことを示しているとして、自らの正統性を強調。同時に、総選挙の結果は、国に深い亀裂があることを示しているとも認めて、2つの選挙で示された民意を踏まえて、国が迎えている重大な時期において行動できるようにするため、より広く、また明確な多数派を見出すことが可能だと考える、と言明した。大統領は、購買力の確保や雇用の拡大、気候変動対策などの重要課題を列挙し、それを増税と債務増大なしに実現するために必要な改革を進めるとの決意を示した上で、「挙国一致政権」を発足させるというアイデアは支持されておらず、現状では正当化されないとの見解を示した。大統領はその上で、立法措置を講じるための新しいやり方を探る上で、各党に対して、連立に加わる意志があるのか、それとも、案件ごとに協力する意志があるのか、そうだとしたら、どの案件に協力するのか、を明確な形で示してほしいと要請。欧州理事会を終えて自らがフランスに戻る24日以降に返事を望む旨を表明した。
夏休み前に予定される購買力確保の関連法案への対応が試金石となる。マクロン大統領は、左右の陣営からそれぞれ20人程度の議員の協力を得て政局運営を確保することを望んでいるとされるが、大統領に対する反発は根強くあり、その実現は容易ではない。