欧州委員会、対露制裁第6段階を提案

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欧州委員会は5月4日、第6段階となる対露制裁を欧州連合(EU)加盟国に提案した。露産原油の段階的禁輸が中心となる。提案は全会一致で承認される必要がある。一部加盟国からは反対がでているため、承認にあたって内容に修正が加えられる可能性もある。
欧州委員会は、露産原油の輸入を今後6か月の間に、露産石油製品の輸入を年末までに禁止することを提案した。ただし、ドルジバ・パイプラインを通じた露産原油の輸入に大きく依存しているスロバキアとハンガリーに対しては、例外的に2023年末までの輸入を認める。報道によると、チェコも同様の例外的措置適用を求めているという。EUが2021年に購入した原油のうち30%、石油製品のうち15%が露産となっている。
また欧州委員会は、ロシア最大の銀行であるズベルバンクをはじめとする3つの金融機関の国際送金・決済システムSWIFTからの排除、Russia 24、Russia RTRなど3つのテレビ局のEU内での放映禁止を提案。このほか、ロシア正教会のトップであるキリル総主教、ペスコフ大統領府報道官の家族、ブチャでの戦争犯罪に加わったと見られる軍人などが制裁対象に加えられた。
欧州委員会の提案に対し、ハンガリー政府は同日、エネルギー安全保障上の懸念を表明。シーヤールトー外相は、「現在の形では支持できない」と反対した。
なお、原油価格は欧州委員会の露産原油禁輸提案に反応して上昇。同日のブレント原油価格終値は約5%上昇して1バレル110.14ドルと、ここ2週間で最高を記録した。