SFRのネットワークに前例のない破壊活動

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仏通信SFRのバックボーン回線の一部が、4月27日早朝に切断されるという前例のない破壊活動が発生した。犯人は特定されていない。破壊活動の結果、SFRの加入者だけでなく、同社の回線を賃借している仏通信フリーの加入者にも、インターネットへのアクセス不能や通信速度の低下などの影響が出た。影響が出た都市には、グルノーブルやブザンソン、ランス、ストラスブールなどが含まれている。
SFRとフリーによると、破壊活動があったのは朝3時から4時の間。フリーがツイッター上で流布した写真によると、地下に埋設されている光ファイバー回線が数カ所に渡って切断されており、犯人は、これらのケーブルの埋設場所について非常に正確な情報を得ていたと考えられ、犯行は組織的なものと見られる。
消息筋によると、「犯行は非常に組織立った、恐るべきものであり、復旧コストが嵩むように仕組まれたものだ」という。仏通信連盟(FTT)では、「今回の犯行は、これまでの破壊活動とは次元を異にするものであり、基地局への放火などとは異なる」と指摘している。
仏内務省によると、5G反対運動の高まりを受けて、2020年にも174件の通信インフラへの破壊活動があったが、今回は、非常に重要度の高い回線であるバックボーン回線がターゲットとされたことが特徴。仏では、オレンジとSFRだけが、バックボーン回線を所有しており、他の事業者は、オレンジとSFRから賃借している。今回切断された回線は、パリ・リヨン間、パリ・ストラスブール間、パリ・ルーアン間を結ぶもので、切断された場所は、リヨン周辺とイルドフランス地域圏の模様。事業者らは、これらの回線のトラヒックをその他のバックボーン回線に回すことで対処したが、フリーの加入者の1%に影響が出た。SFRの加入者への影響はより小規模に留まった模様。
光ファイバー業界では、今回の事件を受け、光ファイバー回線のレジリエンス強化のための大規模計画の実施を求めると共に、破壊活動への闘いの強化と厳罰化を求めている。