ルノー、ロシア事業からの撤退を示唆

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仏自動車大手ルノーは23日、ロシア・モスクワ近郊の工場の操業を同日付で停止すると発表した。再開の日程を示さずに停止した。また、ロシア子会社アフトワズについて、出資に関するオプションを検討するとして、資本関係を解消する可能性を示唆した。アフトワズについては、2022年1-6月期会計において、資産価値をゼロとする評価替えを行うことをあわせて明らかにした。
同日には、ウクライナのゼレンスキー大統領が仏上下院でリモート演説を行い、その中で、フランス企業のオーシャン(食品小売)、ルロワ・メルラン(ホームセンター)、ルノーの名前を挙げて、ロシア事業を打ち切り、ロシアに戦争資金を供給するのをやめてほしい、と訴えていた。圧力の高まりを受けて、ルノーはロシア事業の見直しに応じた格好になる。
モスクワ近郊のルノー工場は1800人を雇用している。アフトワズは2ヵ所の工場を保有し、2021年には41万台を生産した大手。ルノーはその68%株式を保有し、残りの32%はロステック社が保有しているが、ロステックの経営者チェメゾフ氏はプーチン大統領に近く、欧米の制裁対象にもなっている。ルノーとしては、保有株をロステックに売却する選択肢はなく、欧米企業への売却も不可であるため、売却先を見つける可能性はほとんどない。打つ手が限られる中で、簿価で21億9500万ユーロに上るアフトワズの資産額をゼロにすることを決めた。
ウクライナのクレバ外相はツイートでルノーがロシアの戦争行為を支援していると批判して、同社に対するボイコットを世界に呼びかけていたが、23日夜には、ルノーのロシア事業停止の決定を歓迎するツイートを投稿した。