エネルギー高騰対策急ぐ欧州諸国

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ウクライナ危機が天然ガスをはじめとするエネルギー価格の高騰に拍車をかける中で、欧州連合(EU)の複数の加盟国からEUレベルでの共同対策を求める声が強まっている。3月25-26日に予定される次回のEU首脳会議でも、エネルギー価格対策が主要な議題になるとみられている。
現在のEU議長国であるフランスのルメール経済相はEU加盟27ヵ国が一丸となって主要なガス調達先であるロシア、ノルウェー、アルジェリアと交渉し、これら3ヵ国のガス供給事業者(ガスプロムやソナトラックなど)からのガス購入価格に上限を設定することを提案している。同相はこの構想について、3月18日に仏下院で説明した上で、他のEU加盟国に提示したが、全ての加盟国の賛同は得られていないと認めた。国による市場への介入に反対する加盟国が難色を示しているという。
また同じく18日にはローマでイタリア、スペイン、ギリシャおよびポルトガルの首脳会議が開催され(ギリシャの首相は新型コロナウイルス陽性のためオンライン参加)、EUレベルでの対策が必要だとの見解で一致した。会議を主催したドラギ伊首相は、ガス備蓄の共同化による供給の相互融通、共同購入による供給者との交渉力強化などの構想を提示した。南欧4ヵ国の首脳は、特にガス価格を制御し、EU加盟国が早急に共同歩調を取ることが肝心だとの立場を表明した。
現状では各加盟国は各々がエネルギー価格抑制のための対策を講じており、ベルギーやオランダはエネルギーの付加価値税(VAT)を引き下げ、ポーランドはガスの付加価値税を廃止した。