マクロン大統領、原子炉の国内新設を予告

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マクロン大統領は10日、ベルフォール市を訪問した機会に、エネルギー政策について見解を披露した。2050年のカーボンニュートラル達成を目指す取り組みの一環として、国内の原子炉建造計画を発表した。
大統領は、EDF(仏電力)による買収が決まった米GEの原子力発電所向けタービン事業の拠点を訪問し、その機会に発表を行った。大統領は原子力について、可能な限りで既存の原子炉のすべての運転年数を延長する方針を発表。それに加えて、EPR(第3世代加圧水型炉)の改良バージョンであるEPR2の建設計画にただちに着手すると言明した。
具体的には、EDFがASN(原子力安全局)と共に、50年を超えた原子炉運転の継続に向けた準備作業を「数週間以内」に開始する。原子炉建造では、6基の建設計画に着手し、その後にあと8基を追加で建設する可能性を検討する。
大統領は、気候変動対策と、価格変動への抵抗力の確保などの利点を挙げつつ、電力利用の拡大という流れの中で、現在よりも最大で60%の電力増産が必要になると指摘し、原子炉増設の方針を正当化した。カーボンニュートラル達成については、このほかにエネルギー節減と再生可能エネルギーの振興を柱とする方針を確認。太陽光については2050年までに容量を現在の10倍の100GWに引き上げる方針を示したが、反対運動が多い陸上風力については、従来の目標を下方修正し、2030年時点の目標を2050年に達成することとした。逆に洋上風力には肩入れする姿勢を見せ、2050年時点で50ヵ所、合計40GWを整備する方針を示した。なお、14基の原子炉新設と既存原子炉の運転継続が実現しても、電源ミックスに占める原子力の割合は、現在の70%から、2050年には40%程度まで下がる見通しだという。