欧州委員会は2日、EUタクソノミーを定める規則を巡り最終合意に達した。天然ガスと原子力を「移行期間のエネルギー」として、タクソノミーに含めることを決めた。
EUタクソノミーは、持続可能な経済事業を分類するリストで、民間セクターの投資を呼び込む環境作りを目的に制定される。天然ガスと原子力をこのリストに含めるかどうかが議論の対象となっていたが、両方を条件付きで、期限を定めて認める形で決着した。
天然ガスは特にドイツ政府が移行期のエネルギーとして重視している。採択された規則は、天然ガス焚き発電所について、2030年までに建設許可を取得したものについて、石炭焚き発電所などのリプレースを目的とする限りでタクソノミーに含めることを決定。発電所については、2035年より再生可能ガス又は水素に切り替えることも求めている。原子力の方は、特にフランスがタクソノミーに含めるよう求めていた。既存の発電所の改修については2040年までに、新設については2045年までに許可を得ることを条件としている。
欧州委はこの決定について、再生可能エネルギーを主軸に据える方針に変更はないが、2050年のネットゼロという目標を達成するためには時間がなく、現実的な対応をすることが求められているとして、過渡期の手段として原子力と天然ガスを認めたと説明した。環境保護NGOなどは、この決定を「グリーンウォッシング」であると批判している。規則は閣僚理事会と欧州議会の承認を得た上で、2023年年頭に発効する見通し。承認には問題はないとみられているが、オーストリアやルクセンブルクなど一部の国は原子力を含めることに強く反対しており、提訴を行うと予告している。