マクロン大統領とフィリップ前首相の間に緊張

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大統領選挙を前に、マクロン大統領と盟友であるフィリップ前首相の間で緊張が高まっている。各陣営は17日の時点で、対立を否定するコメントを出している。
フィリップ氏はマクロン大統領の就任とともに首相に任命され、2020年春まで在任した。フィリップ氏は、保守政党「共和党」の出身で、マクロン大統領を支持する右派勢力の中心人物の一人であり、首相退任後は、地元のルアーブル市の市長職に戻り、最近では新党「地平(Horizons)」を旗揚げした。フィリップ氏は再三にわたり、マクロン大統領の再選支持を表明しており、「次の次」となる2027年の大統領選に照準を合わせて、政治勢力を構築することを狙っているとみられている。その絡みで、フィリップ氏は、自らに近い下院議員グループ「アジール(行動)」と「地平」の合併を計画していたが、大統領府方面から横やりが入ってこれを断念したと伝えられており、フィリップ氏とマクロン大統領の関係が波乱含みとなったことをうかがわせている。
フィリップ氏は17日付の日刊紙ロピニオンに対して、「自分は大臣になるつもりも、総選挙に出るつもりもない。何も求めるつもりはないが、ただ、流行語を使うなら、いやがらせをされたくはない」と言明。「いやがらせ」とは、マクロン大統領が最近に、「ワクチン未接種者にいやがらせをして、接種するよう仕向けたい」と発言したことを受けたもので、マクロン大統領に対する怒りが透けて見える言葉となっている。この件については、フィリップ氏とマクロン大統領の両方の陣営が、17日中に対立を否定するコメントを出しているが、両者の微妙な駆け引きは今後も続くと思われる。