重要金属の確保に関する報告書、仏政府に提出

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重要金属の確保に関する報告書が10日、仏政府に提出された。報告書は、自動車大手PSA(現在のステランティス)の会長などを務めたフィリップ・バラン氏が政府の依頼を受けて作成した。
脱炭素化に向けた電動化などの取り組みにおいて、リチウムやニッケル、レアアースなどの金属資源の戦略的な重要性は高まっているが、フランスを含む欧州は原材料の確保という点で遅れており、例えばバッテリー製造に必要な重要金属のバリューチェーンの5割前後は中国が押さえている。フランスの対外依存はほぼ100%に上る。欧州の自動車市場は、2030年時点で世界のEV保有台数の5割を占めるものと予想されており、それに見合った金属資源の確保が課題となる。
報告書は、精錬・加工など中間的な工程をフランス国内で受け入れることができるようにすることを勧告している。政府はこれを受けて、最初のプロジェクト募集を開始すると発表。「フランス2030」投資プログラムの枠内で、合計10億ユーロの予算を、この分野のプロジェクトに供給する計画で、うち半額は補助金、半額は出資の形で行う。報告書は具体的に、北仏ダンケルクにバッテリー向け金属拠点を、南西地方のラック市(ピレネーアトランティック県)に希土類磁石の拠点を整備するよう勧告している。
報告書はこのほか、鉱山開発に資金を供給する投資ファンドの設置を勧告。社会・環境責任を全うした鉱山開発の推進に向けて、欧州連合(EU)の協力を得て国際的な標準を確立する努力も必要だと指摘した。