健康保険制度の見直し議論、報告書が近く提出へ

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健康保険制度の見直しに関する議論が進められている。諮問機関のHCAAM(健康保険の将来に関する高等評議会)が18日に報告書作成の審議を行う。
フランスでは、健康保険制度は1階建て部分に相当する公的健康保険と、2階建て部分に相当する民間の補足健保により構成されている。補足健保は原則的に加入は任意だが、企業においては従業員に団体保険を提供する義務があり、従業員にも加入の義務(他の保険に別途加入している場合は免除)がある。その一方で、高齢者は保険料が高い個人保険に加入することになり、負担は大きい。不公平な制度を是正する必要が指摘されるに至っており、政府は、1階建て部分の公的保険によるカバー対象を拡大する形での制度改正の青写真を検討するよう、HCAAMに依頼していた。
12日付のレゼコー紙の報道によると、補足保険のカバー範囲を縮小し、公的保険にその分を移転した場合、公的保険の追加負担分は年間188億ユーロに上る。補足保険の事業規模は年間270億ユーロ縮小するが、補足保険を対象にした追加課税制度の税収もそのために縮小するので、その分を合算すると、公的保険の追加負担分は年間220億ユーロ程度に上る。その一方で、公的保険と補足保険という2階建て体制の管理費用負担は大きく、制度改正に伴う費用節減効果は54億ユーロに上る。全体として、公的保険の財源を確保する増税が必要になるが、その一方で、補足保険料は節減されるため、保険加入者にとっての負担は減少するという。
補足保険の民間業者はこの改革に強く反対している。マクロン政権は、来春までの任期中に改革に着手する可能性は否定しており、改革が行われるとすれば次期政権の課題となる。