ベナラ事件裁判:ベナラ被告人に厳しい有罪判決

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト

元大統領府スタッフのアレクサンドル・ベナラ氏を主な被告人とする裁判で、パリ地裁は5日、ベナラ被告人に禁固3年(うち1年が実刑部分)の有罪判決を言い渡した。求刑よりはるかに重い量刑とした。
ベナラ被告人は、マクロン大統領の選挙キャンペーンに協力し、大統領の当選後は、大統領府のスタッフとして身辺警護に絡んだ職務に就いていた。政権発足から1年ほどが経過した2018年5月1日、メーデーのデモに伴う警戒に当たる警察の活動にオブザーバーとして参加したが、この際に数度にわたり暴力的に介入していたことが数ヵ月後に判明。2018年夏にはこの話題が世間をにぎわせ、マクロン政権にとって最初の不祥事となった。
ベナラ被告人を巡っては、この事件を契機に様々な違法行為の疑惑が浮上した。今回の裁判でも、そうした違法行為の数々が争われ、裁判所は判決において、9件の違法行為により、被告人に禁固3年の有罪判決を言い渡した。裁判所は、5月1日の暴力行為に絡む一連の違反行為に加えて、自らに有利な材料を得ようと、パリ警察庁の監視カメラの映像を不正に取得した件、外交官パスポートを取得するために公文書を偽造し、パスポートを不正に使用し続けた件などで被告人に違法行為があったと認定。被告人が、処罰されることなく何でもできると思い上がった態度で臨んでいたことを重く見て、求刑(執行猶予つき禁固18ヵ月)よりはるかに重い量刑の有罪判決を下した。1年間の実刑部分については、位置確認の発信機の装着義務を課した上で、母親の自宅に居住する形で収監によらずに刑を終えることを認めた。
ベナラ被告人と行動を共にしていたクラーズ被告人(事件当時に与党LREMの職員)は、執行猶予つき禁固2年と500ユーロの罰金刑を言い渡された。裁判所はまた、ベナラ被告人らに監視カメラの映像を融通したクルザ被告人(パリ警視庁警察官)には、情状酌量を認めて5000ユーロの罰金処分を科した。ベナラ被告人らに警察活動への参加を認めたパリ警視庁の責任者シモナン被告人には執行猶予付きの禁固3ヵ月の有罪判決を言い渡した。
ベナラ被告人の弁護士は、判決を不服として控訴すると予告した。