米仏首脳が電話会談:オーストラリア潜水艦問題でバイデン米大統領がフランスに配慮

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オーストラリア潜水艦問題を巡り、マクロン仏大統領とバイデン米大統領の電話会談が9月22日に実現した。バイデン大統領がフランスに対する配慮をにじませ、両国は歩み寄りに向けて一歩進んだ。
米英オーストラリアの3ヵ国は、インド・太平洋地域を念頭に置いて戦略的提携「AUKUS」を結ぶと発表。オーストラリアはこれに絡んで、仏ナバル・グループとの間で結んでいた潜水艦建造契約を破棄した。フランス政府はこの発表に強く反発し、駐米及び駐オーストラリアのフランス大使を協議のため召還するという異例の事態に発展していた。
今回の電話会談は、フランス側の要請に米国側が応じる形で行われた。会談後の共同声明には、「フランスおよび欧州のパートナー諸国にとって戦略的な利益にかかわる問題について、同盟国の間で開かれた協議が行われていたら、この状況は回避できたはずだ」との文言が盛り込まれ、米国側がフランスに対して配慮を示した。米国側は、そうした協議を今後とも進めることを約束。両首脳は10月末に欧州で会談することも取り決めた。会談はイタリアで開かれるG20サミットの機会に行われるものと予想される。駐米大使が来週にワシントンに戻ることも決まった。このほか、米国側は、「インド太平洋地域におけるフランスと欧州諸国の関与の戦略的重要性を認め、さらに、「欧州の防衛力の強化が、世界の安全保障に貢献し、北大西洋条約機構(NATO)とも両立する」ことを認めるとし、サヘル地方における反テロ削減を支援する旨を確認した。