反ワクチン派の旗手、ボネール下院議員

「反ワクチン」的な主張の支柱になっている人物の一人に、マルティーヌ・ボネール(Martine Wonner)下院議員(57)がいる。同議員はアルザス地方の選出で、2017年の総選挙で初当選した。精神科医の出身で、困窮者救援活動などを経て、与党LREMから立候補して当選した。しかし、それ以後は、LREMに反旗を翻す言動が目立ち、2020年にLREM議員団から除名された。その後も尖った主張の展開が続き、LREMから離れたのちに合流していた「自由・地方(LT)」議員団(左翼急進党などにより構成)からも17日に除名された。
ボネール議員は「反骨精神」を発揮し、移民法改正(2018年)、EU・カナダ包括的貿易投資協定(CETA)の批准(2019年)などに反対してきた。LREM議員団から離れるに至るきっかけになったのは、マルセイユの医師ディディエ・ラウルト氏が主導したヒドロキシクロロキン投与による新型コロナウイルス感染症治療への支持で、ボネール議員はこの療法を熱心に支持した。治療法は現在では効果よりリスクの方が大きいと広く認められているが、同議員はその後も、療法への支持を改めず、反主流派の医師らによる「代替治療プロトコル」の作成にも協力。ビタミンD剤の摂取による予防やヒドロキシクロロキン投与による治療などを盛り込んだプロトコルで、これは医師会から危険性を批判されている。ボネール議員はまた、2020年夏の時点で第2波到来の可能性を否定し、マスク着用の「有害性」を喧伝するなどして活動した。
現在は、mRNAワクチンを「遺伝子組換え」と同一視し、その危険性を訴える議論を展開。ワクチンは危険であるばかりか効果がなく、ワクチン接種者はモルモットだ、などと主張している。この種の主張は、ワクチン接種を拒否する人の多くに共通しており、ボネール議員は、そうした主張の拡声器の役割を担っているとも考えられる。