パリ・ポルトマイヨ再開発計画、裁判所が建築許可を取り消し

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パリ行政裁判所は2日、パリのポルトマイヨ地区の再開発計画である通称「ミル・アルブル(千の木)」への建築許可を取り消す決定を下した。環境団体等の訴えを認めて、住民等の健康を損なう恐れがあることを理由に取り消した。当事者らは控訴することができる。
このプロジェクトは、パリ市が公募を経て選定した22件のプロジェクトのうちの一つだった。ポルトマイヨ地区を横切るペリフェリック(環状自動車専用道)をまたぐ形で建物を建設し、多数の樹木を植えて緑地を整備すると共に、住宅(約100戸)、ホテル、託児所、オフィス、展望レストランなどを入居させる計画だった。設計は藤本壮介と仏マナル・ラシュディの両氏が担当し、2019年8月に、パリ市が整備事業を進めるファルスブール社と契約を結んでいた。
このプロジェクトに対して、環境保護団体と、パリ市の与党に加わる環境政党EELVの所属市議らが共同で取り消しを求める訴えを起こしていた。団体側は、自動車の排気ガスによる汚染水準が高い場所に建物を整備するのは健康上の懸念があると主張。裁判所もこの主張を認めて、二酸化窒素と粒子状物質の汚染水準が基準値を超えている場所であることを考えると、住民や利用者の健康に悪影響が及ぶリスクがあると指摘。汚染を軽減する目的で提案された措置も効果に疑問があるとの判断を示した。