マクロン大統領は13日夜、民放テレビTF1のテレビインタビューに応じた。3時間余りの長時間にわたり、各界の著名人らの質問に答えるという形でインタビューは進められた。
マクロン大統領は、2017年の就任からちょうど8年目という日付を選んで、今回のインタビューに応じた。昨年の解散総選挙以来、政治的な基盤が一段と弱くなり、大統領はしばらく影を潜めていたが、このところは外交を中心に存在感を高める作戦を展開しており、このインタビューを復活ののろしとする考えだったとみられる。番組の趣向から、批判に答えるという形になりやすく、大統領は、自らのこれまでの政策運営を正当化し、その成果を強調することに多くの時間を割くことになったが、そのせいで具体的な発表には乏しく、何のための出演だったのかといぶかる声も多く聞かれる。望んだとしても実行する力はない大統領の無力がはしなくも露呈されたとする厳しい見方もある。
大統領は以前に、重要な問題で国民に信を問うと予告しており、国民投票実施の具体的な内容がどうなるかが注目されていた。大統領は今回、複数の案件について、1回の投票で国民に諮るというやり方にすると説明したが、その具体的な内容については、「経済、教育又は社会」の問題としただけで、詳細を明らかにしなかった。ただし、年金改革の是非を問う国民投票の実施は否定。大統領はその理由として、年金改革に関する労使協議が進行中であることを挙げた。大統領は移民問題についても国民投票を行う可能性を否定した。大統領はこのほか、雇用削減の懸念に直面する鉄鋼大手アルセロールミタルについて、国有化を行う可能性を否定。社会保障会計の財源については、給与に係る徴収に頼りすぎていることを問題視し、付加価値税(VAT)の税収の一部を同会計の財源とする可能性について示唆した。