家計の所得・資産調査:所得格差は再分配効果で安定、保有資産には大きな格差

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INSEEは17日、家計の所得と資産に関する調査結果を公表した。
これによると、世帯の1人当たりの月額可処分所得(世帯主を1、14才以上のその他成員を0.5などとして1人当たりに直した数字)は中央値で2022年に2028ユーロとなり、1996年以来で24%上昇した(インフレ補正後)。これは国内総生産(GDP)の成長に沿った上昇となっている。主に配当金収入により、高額所得者の収入は特に大きく増加しており、このため、貧富の差は拡大した。所得再分配前で、所得水準下位10%の世帯と上位10%の世帯の間の格差は、2002年から2021年までの間に17%近く拡大した。ただし、所得再分配の効果は大きく、両者の間の格差は、2002年に3.39倍、2021年に3.41倍と、ほぼ安定的に推移した。
それでも、相対的貧困者(1人当たり可処分所得が中央値の60%未満)の数は、本土の通常の住宅に住む人で、2022年に910万人となり、人口の14.4%を占めた(欧州連合の平均並み)。海外県と、通常以外の住宅の居住者(キャラバン、学生・高齢者などの施設に住む者)を含めると、貧困者数は1120万人に上る。
資産状況をみると、格差の拡大はさらに大きい。2021年年頭の時点で、家計が保有する資産のうち92%が全体の半数の世帯(資産額17万7200ユーロ超)を保有しており、保有資産の偏りはかなり大きい。下位10%の世帯の保有資産額は4400ユーロ未満、上位10%の世帯ではこれが71万6300ユーロ超と、上位と下位の隔たりは大きい(ここでの保有資産額は債務控除前の数字)。住宅価格の上昇が資産額を押し上げる主な要因の一つとなっており、資産格差の拡大を招く要因ともなっている。