政府、予算法案を閣議決定

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バルニエ内閣は10日、2025年の予算法案と社会保障会計予算法案を閣議決定した。財政赤字の削減に向けて、従来の発表よりも多く増税に依存する内容となった。景気の腰を折る懸念も取り沙汰されている。
政府は、財政赤字総額の対GDPが2024年に6.1%まで膨張すると予想(2023年は5.5%)。政府はこれを、2025年に5%まで圧縮し、次いで2029年時点で2.8%と、欧州連合(EU)基準である3%以内にまで圧縮するとの中期目標を掲げた。経済成長率については、2023年の1.1%に対して、2024年と2025年に共に1.1%と予測。インフレ率については、2023年の4.8%の後、2024年に2%、2025年に1.8%へと順次低下すると予想した。
国の財政赤字は2024年に1666億ユーロまで膨張する。財政赤字総額の対GDP比を5%まで圧縮するために、政府は支出総額を2025年に600億ユーロ削減するとの目標を設定。ただし、会計検査院付属の諮問機関HCFPは、予算法案について、実際の節減効果は420億ユーロ程度になるとの試算を示しており、予算法案の評価は必ずしも一定していない。公的債務残高の推移も懸念材料で、政府は、同残高の対GDP比が、2023年の110.6%から、2025年には115%近く、2027年までに116.5%に達し、その後は徐々に低下に向かうと予想。国債費は、2025年に549億ユーロ(前年比40億ユーロ増)となり、その後は696億ユーロまで増大すると予想している。
支出総額は前年比0.7%増(物価変動を補正後の実質ベース)となり、これは従来の実績からみるとかなりの節減に相当する。国に限ると1.1%の実質減となり、公務員数の削減(2200人減)を含めて踏み込んだ節減が図られる。他方、税制の見直しによる税収確保では、法人対象で136億ユーロ、個人対象で57億ユーロの確保が図られる。大手企業(440社が対象となる見込み)への2年間の特別課税では、2025年に80億ユーロ、2026年に40億ユーロが確保される見込みで、法人税納税額に対して20.6%または41.2%の追加徴税がなされる(この税率は2年目には半分に削減)。法人税の課税対象となっていない海運業者にも特別課税が適用される。自社株買いについては、この10月10日以降の実施分について、買入消却分の8%相当を徴税する(2025年に2億ユーロの税収見込み)。法定最低賃金(SMIC)の就労者を対象にした使用者負担社会保険料の減免措置も見直され、40億ユーロの追加収入が確保される。いわゆる「マクロン手当」の社会保険料減免措置も見直され、6億ユーロの追加収入を確保する。事業所の付加価値を課税標準とする地方税CVAEの廃止案は凍結され、同税は2027年まで維持される。
個人向けでは、所得税課税区分の所得額をインフレ率並みの改定の対象とすることが決まった。政府はこの点では実質増税を見送った(改定凍結なら37億ユーロの増税)。他方、標準所得額が25万ユーロ以上(1人の場合)の高額所得者については、所得に対する各種納税額の率が20%を下回ってはならないとする制限が導入される。話題になっていた電力消費税については、危機以前の水準よりも高い水準に引き上げることで、年間60億ユーロの追加税収を確保する。賃貸住宅物件への投資に係る税制優遇措置も削減の対象となる(年間2億ユーロ相当)。ガスボイラを対象にした付加価値税(VAT)優遇税率の適用も廃止され、航空券課税も引き上げられる。