極右RNの政策、その内容には懸念も

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極右RNのバルデラ党首は11日、ラジオ局RTLとのインタビューの中で、総選挙における公約について見解を明らかにした。RNは総選挙において第1党となる勢いで、バルデラ党首はRNが勝利の場合の首相候補と目されている。
党の正式な公約は今後に公表されるが、バルデラ党首は、自らが筆頭候補を務めた欧州議会選挙と同様に、購買力、治安、移民の3つのテーマを中心に政策を訴えると言明。党首は、7月1日付でガス規制料金が10%引き上げられることを挙げて、マクロン政権を非難し、RNは、エネルギー(自動車燃料含む)に係る付加価値税(VAT)の税率を引き下げるなどと約束した。企業向けには、国内生産の振興を目的とした減税を約束し、「経済愛国主義」の称揚と規制緩和の推進を予告。電力料金に関する欧州連合(EU)の規則から離脱するとともに、民衆層と中流層にも減税を約束した。さらに、治安の改善と移民の制限を最重要課題とし、社会給付の自国民優先という原則を掲げた。年金政策については、RNはマクロン政権による年金改革(定年年限の60才から62才への引き上げ)を撤廃するとの政策を掲げていたが、バルデラ党首は、国の経済状況を見て決める、と説明し、従来よりも立場を後退させた。
このほか、バルデラ党首とは別に、解散前に下院議員を務めていた有力者のシュニュ氏は、公共放送部門の民営化の可能性を示唆した。
企業寄りのシンクタンク「モンテーニュ研究所」が2022年の総選挙時のRNの公約をベースにまとめた試算によると、RNの公約の費用は年間1200億ユーロ程度、期待できる節減効果は180億ユーロ程度で、差し引き後で1000億ユーロという巨額の財政収支の悪化を招くという。解散総選挙の発表以来で、仏長期金利は上昇を続けており、株安も進行している。