ムーディーズとフィッチ、フランスの格付けを据え置き

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大手格付け会社のムーディーズとフィッチは26日夜、フランスの長期債務の格付けを維持した。ムーディーズは「Aa2」に、フィッチは「AAマイナス」に、それぞれ据え置いた。また、格付け見通しも「安定的」のままに維持した。
フランスではこのところ財政収支の悪化が顕著になっており、格下げを危ぶむ声もあった。欧州議会選挙(6月9日)を控えて、政府としては格下げで信頼性の低下を招くのは避けたいところで、両社の格付け見直しの発表が注目されていた。格付け見通しを含めて現状維持を獲得できたのは朗報となった。
ただ、両社とも、フランスの財政運営の展望について懐疑的な見方を表明。フィッチは、2027年に財政赤字の対GDP比を3%以内に圧縮するとした政府の目標の達成が危ぶまれると指摘。ムーディーズは、2027年時点の公的債務残高の対GDP比が115%で推移する(2023年末時点で112.3%)と予想した。
3大格付け会社のうち、S&Pは5月末に格付け見直しについて発表する。欧州議会選挙の直前というタイミングになり、政府としてはまだ気が抜けない状況が続く。ルメール経済相は26日夜の格付け発表後に、財政健全化の目標を堅持し、努力を続けるとのコメントを発表した。