トルコの大統領選挙でエルドアン大統領が再選された。新たな任期を加えるとほぼ四半世紀にわたってトルコはエルドアン体制の支配下にあることになる。傍から見ると、エルドアン大統領の何がそれほど魅力的なのかさっぱり理解できないが、トルコ国民から見れば、おそらく良い点がたくさんあるのだろう(あるいは、他のトルコ人政治家と比べてよほどましたなのだろう)。エルドアン大統領は欧米からすると、やりづらい相手だが、その分だけトルコの存在感を際立たせているとも言える。世界史を振り返れば、トルコ系民族が演じてきた役割は極めて大きいだけに、欧米と中露の間で、トルコがインドと並ぶ第3あるいは第4の勢力として独自の動きを見せるのは当然とも言えるかも知れない。いずれにせよ、地中海世界の東端にあり、欧州と非欧州の境界に位置するトルコは、その異質性により欧米的世界に打ち込まれた楔として、欧米のエスノセントリズムに異議を唱え続ける忌々しい存在であり続けるのだろう。やれやれ、厄介なやつだと思わざるを得ないが、欧米の慢心を戒め、その価値観や世界観を相対化して、普遍性を否定する貴重な存在でもある。そんな風に考えれば、少しは我慢しやすくなるのではないか(いや、ならないよ、という声もありそう)。