今年夏には死亡者数が1万500人増、猛暑が影響

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト

保健分野の公的機関サンテ・ピュッブリック・フランスが発表した集計によると、今年の夏に観測された3回の猛暑期間(6月末、7月中旬、8月初頭)には、通常(直近5年間の平均)と比べて、死亡者数が2816人多かった。これは16.7%の増加に相当する。死亡者はやはり高齢者に偏っている(75才以上が2272人)が、新型コロナウイルス感染症で死亡した894人も含まれる。ただし、猛暑の間接的な影響は大きかった(感染者に猛暑が打撃となった、猛暑で体力が弱っていた人が感染した)と考えられ、これは別の疾患についても当てはまる。地理的には、猛暑が特に厳しかった南部の4地域圏(オクシタニー、オーベルニュ・ローヌアルプ、プロバンス・アルプ・コートダジュール、ヌーベルアキテーヌ)に死亡者の3分の1近くが集中している。猛暑警報が出された県では、死亡者の増加率が20%近くに達している。猛暑期間中に限定せず、夏季の全体(6月1日より9月15日まで)でみると、通常比での死亡者数の増加分は1万500人に上った。2022年の夏は観測史上で2番目に暑かったが、死亡者数の増加分は、最も厳しい熱波が到来した2003年の約1万5000人に比べると低い。これは、2003年の猛暑を教訓として導入された対策が効果を挙げたものとも考えられる。
気候変動の被害は物的側面でも顕著で、特に、全国の住宅に、土地の乾燥に由来する亀裂の派生被害が目立っている。保険業界団体の最新の試算によると、2022年の被害総額は19億ユーロから28億ユーロ程度に上るという。当初予測の16億-24億ユーロが上方修正された。同様の被害の規模は、2020年までの5年間では年平均で10億ユーロ前後であり、今年は2倍を超える可能性が強まっている。