ベーカリー老舗のポワラーヌが民事再生手続きの適用下に入ったことが明らかになった。10月4日付のパリ商事裁判所の決定が20日に公表された。管財人が任命され、債権者団との間で再建プランを巡る交渉が開始される。
ポワラーヌは1932年にパリで創業。世界的なブランドに育てることに成功した2代目のリオネル・ポワラーヌ氏が2002年に事故死し、現在は3代目となるその娘2人が経営に当たっている。1980年代より、パリ郊外ビエーブル市(エソンヌ県)の工場で、厳選された材料と薪によるパン焼きで独特の酸味のある田舎風パンを製造。パリに5店舗(最新の17区店舗は去る3月に開店)とロンドンに1店舗を展開し、従業員数は147人に上る。
ポワラーヌは新型コロナウイルス危機を経て業績が悪化。年商1000万ユーロに対して、2021年3月期に170万ユーロの赤字を記録し、続く2022年3月期にも190万ユーロの赤字となった。新型コロナと共に外国人観光客が急減し、同時期に生じた手作りブームを背景に地元の顧客の客足も遠のいた。足元では、原材料費、輸送費、容器包装費、光熱費の急上昇も痛手となっており、製品価格を大きく引き上げられなかったことから損失が拡大した。危機時に獲得したPGE(公的保証の伴う銀行融資)を返済する時期に差し掛かり、財務上の余裕を失い、民事再生手続きの申請に踏み切った。