民放大手TF1とM6が16日、株式市場の取引終了後に、合併計画を断念すると発表した。競争当局からの許可が得られる見通しが立たないことを理由に、計画を断念した。
競争当局は去る5日と6日の両日、当事者らと関係各方面より意見聴取を行った。競争当局はその結果を踏まえて、TF1とM6の両社に対して、合併を認める前提として極めて厳しい条件を課す方針を示したといい、両社は合併の利益がなくなると判断し、断念を決めたという。両社は、広告スペース販社を統合しないと約束することで、合併の許可を取り付けようと望んでいた。両社が合併すると、テレビ視聴率(占拠率)が合計で40%超、テレビ広告市場でシェア70%、番組制作でシェア40%という寡占的企業が発足することになる。両社は、テレビ広告市場を切り離して考えるのは時代遅れであり、デジタル広告(特に動画)市場と一続きの市場として考えるべきだと主張し、合併の許可を求める論拠としていたが、競争当局は、広告主の意見も踏まえつつ、そのような分析の仕方は妥当ではないとし、寡占状況が生じないようにするために、合併後にM6本体を売却するよう求める方針であることを両社に示した。両社は、それでは合併の利益は得られないと判断し、計画を断念した。
合併断念の決定により、M6の将来がどうなるかが注目されている。M6の親会社であるRTLグループ(独ベルテルスマン傘下)は以前よりM6の売却を計画しており、その中でTF1との合併が検討されたわけだが、その断念を受けて、新たな売却先探しが焦点となる。ただし、M6の放送免許更新に絡んで、ひとたび免許が更新されると、その期間中の売却は認められないことから、2023年5月までに売却が決まり、新たな株主構成の下で免許更新がなされない限りは、2028年までは動きが取れなくなるという。