ワクチン反対派の抗議行動「自由の輸送隊」、パリで週末に発生

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト欧州レポート

「自由の輸送隊」を名乗る人々が自動車でパリ方面に12日に集まった。シャンゼリゼ地区などで小競り合いが発生した。
「自由の輸送隊」は、カナダで首都オタワを封鎖するなどの抗議行動を展開するトラック運転手の運動にちなんだもので、「ワクチン・パス」の廃止や、燃料価格高騰を背景として購買力増強などを要求している。統率はあまりとれておらず、自発的に地方から自動車でパリに向かう呼びかけに賛同する形で人々が集まった。12日にパリ市内に結集するという呼びかけがなされていたが、当局はこれを禁止するとともに、検問を設置して乗り入れを制限するなどの対策を実施した。それもあって、実際にパリ市内に集結した車両はさほど多くなく、シャンゼリゼ近辺に集まった人は数千人という規模だった。治安部隊が介入して催涙弾で解散を促すなどの場面もあったが、商店の略奪行為などは発生しなかった。同日には、65人が逮捕され、300件を超える罰金処分が適用された。逮捕者の中には、「黄色蛍光ベスト」の抗議行動の指導者の一人で、無許可の集合を計画していたジェローム・ロドリグ氏も含まれる。また、車両の強制移動は15件(うち2件は大型車両)に上った。
なお、毎週土曜日には、全国でワクチン反対派によるデモが行われているが、12日のデモでは、「自由の輸送隊」による増幅効果はさほど多くなかった。全国の参加者数は3万2100人(うちパリが7600人)となり、前週の2万9000人をわずかに上回った程度だった。パリ周辺までやってきた人々が今後どこへ向かうかは、統率のない運動であるだけに不明な点も多いが、14日にベルギーのブリュッセルに結集する欧州全体の運動に合流するとの見方もある。