EDF(仏電力)は1月11日、フラマンビル原子力発電所に建設中のEPR(第3世代加圧水型炉)について、運転開始の日程を延期すると発表した。これまでの予定では、2022年末に燃料装荷が行われるはずだったが、これを2023年4-6月期に延期した。総費用の見込みについても、これまでの124億ユーロが127億ユーロにかさ上げされた。数度にわたり延期されてきたこのプロジェクトで新たな遅れが発生したことになるが、市場はこの発表を冷静に受け止めており、11日昼の時点でEDFの株価は0.3%の上昇を記録している。これについては、新たな遅れの発生は折り込み済みであり、先行きの不透明感が少なくなったことはむしろ好材料になったとする見方もある。
EDFは、パンデミックにより産業界が困難な状況に陥る中で、作業の進捗状況を考慮して延期を決めたと説明。具体的には、欠陥があった配管溶接のやり直しに時間がかかり、その終了が、これまでの予定の4月末から8月末に遅れる見通しとなったことを挙げた。また、中国・台山原子力発電所で運転中のEPRにおいて発生した技術的問題のフィードバックを反映させるとも説明。台山では、燃料集合体において各燃料棒を固定する部分が壊れ、燃料棒の被覆が破損する事態を招いたが、EDFはフラマンビルではこの経験を生かして、現状でも入手可能で検証を経た別の技術を用いると説明した。
フラマンビルのEPR建設は、2004年のプロジェクト発表時には、2012年の運転開始を予定し、建設費用も30億ユーロ余りだったが、その後、数度にわたり遅れが発生、費用も大幅に膨らんだ。