仏ナバル・グループ(軍艦建造)は、ロリアン拠点(モルビアン県)において、軍艦建造のスピードアップに取り組んでいる。年間2隻の目標が2025年に達成される見込みで、今後はさらに年間3隻への引き上げを目指す。
ロリアン拠点ではFDIと呼ばれるフリゲート艦などが建造されている。その初号艦が今夏後に仏海軍に引き渡される予定。12月にはギリシャ海軍に2艦目が引き渡される予定で、年間2隻の建造が達成される。同拠点では、3年前に着手の「C20 F30」プランに基づいて、軍艦建造のスピードアップを進めており、その目標が達成される。「C20 F30」とは、コルベット艦の建造所要期間を24ヵ月から20ヵ月へ、フリゲート艦については36ヵ月から30ヵ月へと圧縮するというもので、FDIについては、仏海軍に6隻、ギリシャ海軍に2隻の受注残があり、2028年まで毎年2隻ずつの引き渡しを続ける。
国際情勢の混乱に伴い、軍拡の動きが世界的に高まる中で、軍艦建造の需要は拡大する見通しであることから、ナバル・グループは、ロリアン拠点の生産ペースをさらに引き上げ、1年間に3隻のFDI建造を可能にするための取り組みに着手した。既に、拠点内で使われていなかった施設のリニューアルを行い、増産の足場を確保。タレス(防衛電子)など納入業者との協議を進めている。ロシアの脅威の前線に位置する東欧諸国、欧州防衛から手を引く姿勢を米国がちらつかせていることに対応を迫られている西欧諸国、さらに、地域情勢の不安定化が目立つ中東諸国からの需要が見込まれる。FDIでは20-25隻以上の受注が近く結ばれる見込みで、その中には、ノルウェー(5隻)、デンマーク(5隻)、スウェーデン(3隻以上)、サウジアラビア(5隻)、インドネシア(5隻)が含まれる。
ナバル・グループはロリアン拠点に年間平均1000万ユーロを投資してきたが(グループ全体では4億-5億ユーロ)、増産に向けて投資を拡大する計画で、人員数(グループ全体の1万7000人のうち同拠点には3500人が勤務)の増強も図る予定。