INED(国立人口問題研究所)はこのほど、2070年までの期間を対象にした人口推移の予測を公表した。2027年にはフランスの人口が自然減に転じると予想した。
2025年年頭時点で、フランスの総人口は6860万人と推定される(うち6640万人が本土)。2024年には人口は16万9000人増(0.25%増)を記録した。増分の9割は移民の純流入に由来し、自然増は残りの1割を占める。出生数の減少と死亡数の増加により、人口の純増分は縮小する傾向にあり、2019年には14万人に上っていたが、2024年には1万7000人にまで縮小している。
INEDは今回の予測を、現状を踏まえた新たな仮定を採用して策定した。まず、合計特殊出生率が2024年の水準(1.62)を維持すると仮定。これは、2021年時点でINSEEが行った予測において採用されたものよりも低い。さらに、平均寿命についても、2021年のINSEE仮定より、女性について上昇幅をより小さく設定した。移民の流出入については、年間15万2000人の純流入(2024年の予測値)で安定すると予想した。これは、2021年INSEE予測の中心シナリオ(7万人の純増)より多い。
これらの仮定を採用すると、出生数と死亡数の差で示す自然増減は2027年時点で純減に転じる。純減幅は徐々に拡大し、2060年頃に25万6000人程度となり、その後は安定して推移する。死亡数の増加は、ベビーブーマー世代が死亡する年齢に差し掛かるにつれて増大する。出生数の方は、出生数が多かった2010年頃に生まれた世代が出産する年齢となる2030-40年代にはわずかに増加するものと予想される。
人口全体は移民の純流入により、2040年代まで増加を続ける。人口は7000万人でピークを迎え、その後は2070年までに6800万人へと減少する。