バルト3国とロシアの電力網の遮断

投稿日: カテゴリー: アライグマ編集長の日々雑感

週末にバルト3国の電力網がついにロシアと切り離されて、EU側の電力網と接続された。ロシアを遮断する
ことで、電力供給を材料とする脅迫や恐喝に怯える必要がなくなったと歓迎されている。バルト3国が1990
年にソ連から独立した際に、筆者はある放送局のパリ支局で独立派のリトアニア人グループと同席する機会
があった。数時間のコンタクトだったが、彼らからは異常なほどの強い熱気が伝わってきた。そして口々に
ロシアに対する嫌悪や反発を口にしていた。あれから35年を経て、ようやくエネルギー面でも本当の独立が
実現した。お疲れ様、と言いたい。一時は「欧州の家」のような構想がもてはやされ、ロシア自体も欧州に
統合される可能性があるとすら思われたものだが、その後の歴史はロシアの徹底的な異質性を露呈させた。
2017年にマクロン大統領が就任した直後に、プーチン大統領をベルサイユ宮殿に招いて、友好と協調を演出
したことが今では大昔のことに思われる。ドイツやフランスなどがプーチン大統領に寄り添う素振りを見せ
るのをよそに、バルト3国やポーランドは常にロシアの脅威に注意を喚起してきた。それこそが正しい判断
だったことが歴史により証明されたことを改めて称賛したい。友好的関係の構築でロシアというモンスター
を懐柔できるとの幻想を抱くことはもはや許されない。今やロシアは次第に大きな北朝鮮のようなものにな
りつつある、と誰かが言っていたが、そうなるとやはり徹底的に「遮断」するしか選択の余地はない。