ロシアによるウクライナへのミサイル攻撃が厳しくなる中で、欧州諸国の間では、有事の際に利用可能なシェルターの確保を進める動きが広がっている。
ドイツ政府は25日に、国内にあるシェルターのリストアップを進めていると発表。内務省の報道官が、ミサイル攻撃の際に国民が避難できる場所(地下室など)を有する建築物を、民間施設を含めてリストアップ中だと明らかにした。地下鉄駅や地下駐車場などが対象となる。デジタル地図を作成し、有事の際に避難先を市民たちに携帯電話経由で迅速に通知できるようにするとも説明した。私設のシェルターの整備も奨励する。なお、ドイツには第2次世界大戦時から冷戦時にかけて整備されたシェルターが579ヵ所あり、その収容能力は48万人分であるという。
他方、隣国スイスはシェルター大国で、「永世中立国」の建前から、以前より自衛力の構築を徹底的に進めてきた。人口870万人に対して930万人分程度の収容力が用意されており、現時点で37ヵ所のシェルターの近代化が進められている。
ロシアの脅威を強く感じているスウェーデンでも、核シェルターを含めて、避難施設の強化に3億8500万クローナ(3300万ユーロ)の追加支出を決定。ポーランドでは、首都ワルシャワで、地下鉄駅等のシェルター機能の再構築が進められている。
ロシアは去る21日に、紛争で初めて新型中距離弾道ミサイルでウクライナ東部を攻撃。プーチン大統領は28日、超音速ミサイルであるとも言われているこの新型ミサイル「オレシュニク」でキーウを攻撃する可能性に言及し、欧州諸国を含めて威嚇を強めている。