仏政府系金融機関CDC(預金供託金庫)が出資先のトランスデブ(公共交通機関運営)の経営権を手放す方針を固めた。CDCがレゼコー紙に対して報道内容を認めた。
CDCはトランスデブの66%株式を保有する。その一部を譲渡し、出資率を15-34%に引き下げる方針だという。譲渡の際に基準となる評価額は今後詰める。トランスデブの残り34%株式は、仏ヴェオリア(環境サービス)が独レトマン(Rethmann)に2018年に譲渡し、同社が現在まで保有しているが、トランスデブは、レトマンに過半数株式を譲渡するか、第3の株主を迎え入れるか、2つの案を検討しているという。フランスの競合(国鉄SNCF子会社のケオリスとパリ交通公団RATP子会社のRATPデブ)による買収は、現行の株主協定に抵触するため、検討されていない。レトマンは、かつてのヴェオリアのように、公共交通機関や環境サービスなど、公共サービスの運営を柱とする企業。CDCは政府系金融機関であり、過半数を割り込む資本の譲渡は民営化の扱いとなるため、実現には当局の承認が必要になる。
トランスデブの事業は順調で、2023年には93億3000万ユーロの売上高(前年比21%の増収)に対して、2000万ユーロの純利益(前年並み)を確保した。このところは外国事業を強化しており、米ファーストトランジットの買収を経て、売上高に占める国内事業の割合は29.3%と、初めて30%を下回った。CDCでは、国内の公益性のある事業に投資するという本来の使命に照らして、少数出資は維持し、発言権は確保しつつ、経営権を譲渡する方針を固めた。