フランスの名優アラン・ドロンが亡くなった。日本では生き神のような扱いだったと本人も語っていた通り、日本での
人気は格別だったが、来日した際に同行した人から聞いた逸話によると、日本人がフランス語を理解できないのをいい
ことに日本人ファンを小馬鹿にするような発言を繰り返していたともいうから、決して感じの良い人ではない。むしろ
高慢ちきで嫌な奴だったのではないか。政治的にも極右に近い偏った立場を誇示していた。しかし死んでしまえば残る
のは業績であり、映画作品だ。ドロンはたくさんの名作と、おそらくそれよりもたくさんの駄作・愚作に出演した。映
画ファンでなくとも、ドロン主演の映画を何本かは観たことがある人は多いだろうし、いくつかのシーンは忘れがたく
記憶にとどまっているに違いない。ドロンのファンというわけではない筆者もいくつかのシーンを鮮明に思い出すこと
ができるし、それらは必ずしも全てが名作のシーンではない。「あぁくだらね」と思うような作品に出ているときもド
ロンの存在は際立っていた。やはり名優だったのである。合掌。