いやはや、フランス総選挙の決選投票の結果には驚いた。与党と左派野党連合による極右阻止の呼びかけに、有権者が
これほど敏感に反応するとは正直予想していなかった。極右への抵抗がまだ国民の間に根強くあることが判明したのは
おそらく朗報だが、結果的に三すくみの議会が成立してしまった。今後大統領が誰を首相に指名し、どのような新政府
が発足するのか、現状では予測できないが、第一回投票でマクロン政権への不満や反発から極右を支持した有権者の不
満と反発がいっそう高まった中で、よほど巧みな舵取りのできる首相と政府が誕生しない限り、次の解散総選挙(ある
とすれば、1年後以降)か2027年の大統領選挙で極右が勝利する可能性はいっそう強まったと考えるべきだろう。左派
と中道による「共和国戦線」が極右の単独過半数を一時的に阻んだことを呑気に喜んでいる場合ではない。特に左派所
属の新首相が政局運営に失敗した場合、もはや残された選択肢は極右しかない、という状況になってしまう。次の選挙
で極右のいっそう激しい逆襲を招きかねないことをいまから警戒すべきだろう。そう考えると、やはり今回は極右にい
ったん政権を預けて、その結果を待ち、ほらね、やっぱりこいつらには無理なんだよ、という究極の国民的コンセンサ
スの成立を待つのが賢明な選択だったような気がするのだが…