ユーロ圏のインフレ、6月に減速

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欧州連合(EU)の統計機関ユーロスタット(Eurostat)は7月2日、ユーロ圏の6月のインフレ率(前年同月比)の速報値を2.5%と発表した。5月の2.6%と比べてインフレは減速した。
部門別の価格上昇率(前年同月比)は、食品・アルコール・タバコが2.5%(5月は2.6%、以下カッコ内は5月の上昇率)、エネルギーが0.2%(0.3%)、非エネルギー工業製品が0.7%(0.7%)、サービス料金が4.1%(4.1%)。食品・アルコール・タバコとエネルギーの値上がりの鈍化がインフレ率を小幅ながら押し下げた。
インフレ率は欧州中銀(ECB)が目標とする2%に近づいてはいるものの、今後もまだ上下動はあると予想されている。ラガルド総裁は7月1日にポルトガルで開催されたECBの年次会合で、目標の2%を達成しない限りはインフレ対策に勝利したとは言えず、それまでは気を抜けないと言明。ECBは7月18日の定例理事会では政策金利を据え置く見通しで、新たな利下げ決定があるとすれば、9月12日の理事会が有望とされる。
総裁はまた、1日の発言で、地政学的な緊張の高まりを背景に、直近の2年間に3000件超の貿易保護措置が導入されており、これは通常の5倍だと指摘して保護主義の台頭に懸念を表明した。総裁は開かれた経済地域であるEUが真っ先に悪影響を被るリスクがあるとし、保護主義は経済成長、イノベーション能力、生産性向上に有害であり、ユーロ圏の生産性が低下すれば、労働コストが上昇して、インフレの再燃につながる恐れがあると説明した。
なお、ユーロスタットは同じく2日に、ユーロ圏の5月の失業率を6.4%と発表した。これは4月と同じで、過去最低水準。EU全体の5月の失業率も4月と変わらず、6.0%だった。