極右勢力によるデモ、11日にパリ6区で

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト欧州レポート

パリ6区で11日、極右勢力によるデモが行われた。600人以上が参加した。
このデモは、活動家グループ「C9M(5月9日委員会)」の呼びかけで行われた。パリ警視庁は禁止命令を出したが、主催者側の提訴を受けてパリ行政裁判所が当日になり禁止命令を差し止める決定を下したことから、開催に至った。裁判所は、禁止命令がデモの自由に対する重大な侵害に相当すると認定した。
このグループは、1994年5月9日にパリ6区内で転落死した青年の追悼を目的に、同年中に結成された。この青年は、ペタン派(第2次世界大戦中にナチスドイツに協力する政権を率いた)でユダヤ人排斥主義の団体に属し、当局により禁止されていた「米国の帝国主義に反対する」デモに参加していたが、警察から逃げる途中で転落死した。活動家グループ「C9M」には、ネオナチやネオファシストの極右、王党派、民族中心主義の排外勢力などが合流しており、デモ参加者らは、ナショナリズムの歌を歌ったり、ナチス流の敬礼をするなどして気勢を上げた。記者や通行人を脅すなどの場面もみられた。
デモは、極右政党RNを率いるマリーヌ・ルペン下院議員の側近だったアクセル・ルストー氏の息子であるガブリエル・ルストー氏が指揮した。マリーヌ・ルペン氏は、かつて協力関係にあったユダヤ人排斥主義的勢力との間で現在は距離を置いており、盟友だったアクセル・ルストー氏は、息子が率いる今回のデモへの参加を見合わせた。
なお、欧州議会選挙で与党の筆頭候補を務めるアイエール氏が極右の若者らと撮影した写真が12日時点で出回った。アイエール氏はこれについて、極右の若者らとは知らず、Tシャツに書かれていた極右的な言葉にも気づかずに、撮影に応じたものだったと述べて、だまし討ちにあったと釈明した。極右デモの際に撮影されたものではないとも説明した。