パリ五輪の開幕がほぼ1ヵ月後に迫ってきた。五輪は平和の祭典、などといわれ、一種の擬似戦争としての機能を担っているらしいが、五輪が定期的に開催されたからといって、世界から戦争や紛争がなくなるわけでは全くないことは歴史も現在の世界状況も明確に証明している。もちろん五輪がなかったらもっと多くの戦争や紛争が起きたはずだ、と主張されれば、五輪のないパラレルワールドとの比較ができない以上、否定も肯定もできないわけだが、五輪が明確にもたらすのは、一部の人への経済効果だけ、という皮肉な見方もあろう。普段は注目度が低い競技種目のアスリートにとって、五輪参加が極めて重要なチャンスであることはもちろん理解できるし、開催中は応援もしたいが、人類は限られたリソースをもっとほかのことにつぎ込むべきではないなか、という気もする。まあ、世界はやがて特定の宗教勢力によって支配され、そうなればスポーツや音楽や美術が禁止されて、五輪を含む様々なイベントも開催不能になるかもしれない。そうなる前にせいぜい楽しんでおくのも悪いことではないかもしれない。