UNRWA職員のイスラエル攻撃への関与疑惑

投稿日: カテゴリー: アライグマ編集長の日々雑感

UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)の職員12人以上が10月7日のハマスによるイスラエル攻撃に関与していた疑いが浮上し、米国をはじめとして10ヵ国以上が調査の結果を待ちつつ、UNRWAへの資金拠出を一時停止することを決定した。疑惑を指摘したのは紛争の当事者であるイスラエル当局であり、真偽を検証する必要はもちろんあるが、国連はすでに攻撃に関与されたとされる9人の職員の解雇を発表しており、疑惑の信憑性は高いと考えられる。UNRWAの職員の1割がハマスと繋がっているとの恐るべき追加報道もでている。資金拠出の停止を決めたのは、米加豪日のほかに独英伊蘭墺などの欧州諸国だが(米独だけでUNRWAの資金の5割を負担)、スペインやノルウェーは資金拠出を継続する方針であり、欧州でも対応は国により異なる。外交上の優先順位の違いがあるのだろう。そんな中で、国連のグテーレス事務総長やUNRWAのラザリーニ事務局長は、ガザ地区での人道援助においてUNRWAが担う役割の重要性を強調し、資金拠出の継続を呼びかけているが、これはいささか虫が良すぎる要求というほかない。UNRWAの職員がハマスによるテロ攻撃に直接に関与していたことが事実なら、UNRWAはテロ支援組織とみなされて、解散させられても仕方がない。そんな組織の活動に資金を提供することが欧米の基準で簡単に許されるわけがない。しかし、代替案はある。価値観も基準も欧米とは大きく異なるサウジアラビアなどは、国連のトップと同様に、UNRWAの活動を支援し続けることを呼びかけている。それならばいっそ、今回の紛争でパレスチナ側に立つ中東諸国が中心となり、欧米諸国にかわって今後はUNRWAの活動資金を負担したらどうだろうか? 石油やガスで莫大な収入がある中東諸国の資金力は、欧米に見劣りしないはずだし、サウジのような国がUNRWAの資金の3%未満しか拠出していないこれまでの状況はむしろ異常ではないか。それにパレスチナを支援する諸国の一部はハマスとそのテロ攻撃を批判していないのだから、そうした国々から資金を得るならば、UNRWAも心置きなくテロ支援活動を展開できる。ウィンウィンの解決策だろう(笑)。