アタル首相、農民向け支援措置を発表:農民側は「パリ包囲」の抗議行動を予定

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アタル首相は26日、農民の抗議行動の発端になった南仏オートガロンヌ県を訪問し、農民向けの支援措置を発表した。同県内の道路封鎖の抗議行動はこれで終息したが、農民団体のFNSEAとJAは発表に納得しておらず、29日(月)より「パリ包囲」の抗議行動を展開すると予告した。
アタル首相にとっては就任直後に早々と危機が訪れた格好になった。首相はこの訪問の機会に、地元農民らが特に要求していた3点(農機燃料課税に係る助成継続、農業用水確保への支援、牛流行性出血病被害の補償)に応じることを明らかにした。首相はこのうち、農業用水の確保について、2000万ユーロの支援基金の設置を約束。反対運動などで整備事業が遅れる状況があることに配慮し、訴訟の期間制限等を通じた迅速化や手続きの簡素化を行うと約束した。首相はより一般的に、通称EGALIM諸法案が定める、農作物の仕入れ価格を適正水準に保つための措置の遵守を目的に、検査や違反の処罰等を徹底すると約束した。また、資金繰りに困難を覚える農家の支援を目的に、5000万ユーロの予算を即時に支出するとも予告した。
この発表を受けて、オートガロンヌ県内の封鎖ポイントを含めて、全国の10ヵ所余りの道路封鎖が27日中に解除されたものの、28県の38ヵ所では同日中に抗議行動が続いた。この後、主要な農民団体のFNSEAとJAが、「パリ包囲」の抗議行動を29日に開始することを決めたことから、28日には地方の抗議行動は下火になったが、29日以降はパリ首都圏を中心に抗議行動がぶり返すものとみられている。農民団体側は、アタル首相の発表を不十分としており、特に、欧州連合(EU)の環境等の規制がフランスでは過剰に適用されていると主張し、改善を求めている。EUの規制そのものを問題視する動きもある。団体側はまた、農作物の輸入制限も要求している。抗議行動は、29日午後から、パリに通じるすべての高速道路を封鎖する形で行われるといい、長期化すると影響が拡大する。また、農民団体のうちCRは、パリ郊外のランジス食品卸市場を包囲する抗議行動を準備しているといい、影響が懸念される。