昆虫ベンチャーの仏Ynsectの共同創設者であるユベール氏がCEO職から退くことを決めた。2年前にCOOに就任したクリシュナムルティ氏がCEO職を引き継ぐ。ユベール氏は報道担当の役割を引き続き務め、経営陣に残る。
ユベール氏は研究者の出身で、12年前にYnsectを設立した。同氏はシリーズDの資金調達を進めており、その一部として1億6000万ユーロの調達が4月にまとまったばかりだが、ベンチャー企業の資金調達を巡る環境が厳しくなる中で、Ynsectも大幅に評価額を引き下げることに応じたとみられている。報道によれば、6億ユーロ程度あった評価額が、3億-5億ユーロにまで低下したといわれる。利益率の確保を求める投資家の圧力も高まっており、曲がり角を迎える中でトップ人事が見直された。
Ynsectは戦略見直しを経て、動物向け飼料の原料需要を主力に据えつつ、国際進出を継続している。向こう2年間ではペットフード向けの2億ユーロ相当の契約を確保している。アミアン市近郊のプーランビル工場では第2ユニットの稼働が近く開始される。向こう12ヵ月から18ヵ月間に量産体制を軌道に乗せられれば先の展望が開けるが、そうでなければ終了ではないかという消息筋の見方もある。