「欧州連合(EU)大統領」などとも呼ばれるミシェル欧州理事会議長(president of the European Council) の外遊に伴う支出の大きさが問題視されている。欧州理事会の常任議長というのはたしかに「EUの顔」的な役割を想定して創設されたポストであり、その意味ではミシェル議長の地位を「大統領」と形容することは間違いではないかも知れないが、米国やロシアやフランスの大統領のようなイメージを抱かせるとしたらミスリードになってしまう。そもそもプレジデントという言葉を日本語にどう置き換えるかは悩ましいところで、欧州委員会のフォンデアライエン委員長もプレジデントであり(president of the European Commission)、欧州議会のメツォラ議長もプレジデント(President of the European Parliament)なのだから、ミシェル議長にだけ偉そうな「大統領」という称号を付与するのは違和感がある。そもそも「EUの顔」として大半の人が思い浮かべるのは良くも悪くもフォンデアライエン委員長のほうであり、EU域内で暮らしていても、EUの代表がミシェル「大統領」だとの印象は薄い。フォンデアライエン委員長が大国ドイツの出身なのに対して小国ベルギーの出身というハンデもあろう。ともかく何をやっているかよくわからないお飾り的存在という感じで、それもあってかミシェル「大統領」はフォンデアライエン委員長と張り合って、しきりとプライベートジェットで世界を飛び回り、存在を誇示しているようなのだが、これまでに外交で何 か特別な功績があったとも思われない。いささか傍迷惑な中二病患者のようにしか見えないのが、プレジデントの訳語以上に悩ましく感じられる。とほほ。